第5章:
アパレル経営者が陥る「100点満点」の罠。
AI時代、なぜ中小企業に下克上のチャンスがあるのか?

こんにちは。本間です。
最近どこに行っても「AI」の話題でもちきりですが、アパレル業界の現場を見ていて、ある面白い構造に気づきました。
一般的に「最新技術は資金力のある大手から」と思われがちですが、実は今、機動力のある中小・中堅ブランドにこそ、AI活用の追い風が吹いているというフェーズにあります。
誤解のないように言っておきますが、大手が手を抜いているわけではありません。アパレルに限らず、膨大な個人情報や機密データを預かる大手企業は、社会的責任が極めて重い。最新の調査でも、大企業のAI導入を阻む最大の要因は「コンプライアンス」と「セキュリティ」であると示されています。
大手が動けない理由 「ハルシネーション」のリスク
特に、大手が最も嫌うのが「ハルシネーション(幻覚)」という現象です。AIがもっともらしく、事実とは異なる情報をペラペラと語り始めてしまうアレですね。ブランドの信頼を何より重んじる大手にとって、このリスクは致命的です。
「この服は洗濯機で洗えますか?」という問いに、AIが勝手に「大丈夫です!」と嘘をつき、お客様の服を台無しにしてしまったら……。100%の精度が保証されるまで慎重にならざるを得ないのは、組織としての宿命とも言えます。
しかし、ここが我々中小ブランドの勝機です。
アパレル脳(ハード)とAI脳(ソフト)の決定的な違い
なぜ、我々アパレルの人間にとってAIがこうも扱いづらいのか。そこには「ハードウェア(製品)」と「ソフトウェア」の決定的な文化の溝があるからです。
私たちアパレルのモノ作りは「完璧」が絶対。ボタンが一つ取れていても、縫製が数ミリズレていても、それは「不良品」として大問題になります。この「100点満点以外は認めない」という思考が、私たちのDNAに刻まれている。
一方で、AIをはじめとするソフトウェアの世界は、まったく逆の原理で動いています。「まずは60点のベータ版を世に出し、使い手の反応を見ながら高速でアップデートを繰り返す」。ビジネスの世界ではこれを「アジャイル(Agile)」と呼びますが、ITの世界ではこの「走りながら直す」戦い方が正義です。
機動力のある中小企業の経営者は、この思考の切り替えが早い。「多少のハルシネーションも含めてのAIだ」と割り切り、AIを「不良品」と切り捨てずに「24時間働く、伸びしろだらけの新人スタッフ」として現場にデビューさせる。大手が石橋を叩き壊している間に、多少のすり傷を恐れず、いち早く顧客体験をアップデートできるのが私たちの最大の武器ではないでしょうか。
ECは「見る場所」から「会話する場所」へ
今年に入り、AIはさらに進化を遂げています。
最近特に注目すべきは、EC上での「情緒的な接客」です。これまでのECは、言わば「無人の店舗」でした。しかし、最新のAIを正しく導入すれば、「私の体型ならどっちのサイズ?」「この服に合うボトムは?」といった、店舗さながらの会話が可能になります。
さらに、ユーザーが「検索」ではなく「AIへの相談」へと行動をシフトさせる中で、AIに自社をサジェストさせるための戦略も無視できない段階に来ています。
もちろん、「ハルシネーション(嘘)を実務レベルでどう抑え込むのか」「AIに選ばれるメディア作りとは具体的に何をすればいいのか」といった課題は山積みです。ただ、スモールブランドだからこそ、今このタイミングに大きなチャンスがあると感じている方も少なくないはずです。
実際、私のnoteやSNSでも「スモールブランドのAI戦略」について発信したところ、非常に感度の高い方々から多くの反響をいただきました。
そこで、そうした声に応える形で、1月に「AI×スモールブランド実践勉強会」を開催することにしました。私自身が現場で試行錯誤を繰り返す中で見えてきた、最新のAI接客事例や実務への落とし込み方を共有する場です。
この勉強会は、AIの初心者から自社ですでに試行錯誤されている方まで幅広く歓迎します。なるべくテイストや業種、考え方が違う方が集まることで、私たちがまだ気づいていない「アパレルの新しい可能性」を本音で議論できる場になればと考えています。もし興味があれば、以下の詳細から遊びに来てください。
当日、皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。
【「1月未来の勉強会」 — 無料勉強会】
この勉強会で得られるもの
✅ 2026年AIの実践的な使い方が明確になる
- 「どこから手をつければいいか?」
- 「自分の業種では、どのパターンが最優先か?」
- 具体的な実行プランに落とし込みます
✅ 異業種の戦略から学べる
- アパレル・美容・飲食・不動産・BtoB SaaS…
- 業種が違っても、AI検索の本質は同じ
- 「あ、うちでもこれ使える!」という気づきが生まれます
✅ 30年のアパレルブランディング経験から導いたAIEO戦略
- 大手にはマネできない、中小ブランドならではの勝ち方
- 一億円の借金から複数ブランドを立ち上げた実体験
そんな疑問にお答えします。
今回の「それってホンマかいな!?」まとめ
- 「100%完璧な製品」を作るDNAが、未完成を前提とするAI活用では逆にブレーキになっている。
- 大手が社会的責任やハルシネーション(嘘)を慎重に検証している今、先に動けるのは中小の特権。
- ECをただの「商品棚」で終わらせず、AIを通じて「双方向の場」に変える準備を今から仕込むべき。
- AIを「完成されたツール」として評価せず、自社の商売に合わせて「使いながら育てる」胆力が問われている。
◇筆者プロフィール
本間英俊(ほんま・ひでとし)
クリエイティブディレクター。

国内外のブランド立ち上げや再生を手掛け、感性と経営を統合する独自のブランディングを実践。元「junhashimoto」アートディレクター、現「MINIMUS」をROLAND氏とともに共同設立。アパレル業界にとどまらず、地方メーカーや中小企業のブランド戦略支援にも携わる。
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